学び手

  横浜女学院中学校 高等学校では、中高一貫の強みを活かし、中学3年生から情報Iを学んでいます(通常は高校生から)。特に2023年度の国際教養クラスでは、情報科の学びの方向性を「メディア・リテラシー」に設定し、1学期の主題を「メディア・リテラシーと情報デザイン」としました。





  授業初日に驚いたことがありました。休憩中に様々なことをしている生徒たちのほぼ全員が、授業開始の1分前くらいになるとロッカーから教科書を取り出し、パソコンを準備し、気持ちを授業に向けるのです。開始の鐘が鳴った時点で、寝ている人、ゲームをしている人、何も準備していない人、お弁当を食べている人、大声で騒いでいる人…はほとんどいません(あっこの前寝ている人が1人だけいたか…でも1人だけ)。



  「では授業を始めましょう」と声をかけるときには、全員が着席をして前を向いて、しゃべる人はほとんどいません。この時、一瞬空気が変化する(休憩から授業へ切り替わる)のを毎回感じます。「教科書を出して」「ゲームを止めなさい」「静かにして」と声をかけたことは、これまで一度もありませんでした。教育をサービスと捉え“消費者”として“教室”に存在するのではなく、一緒に情報という学問分野を追究する学び手として学び舎に存在しているのです。まだ日本の学校にこのような生徒が存在していたんだ!、と。もちろん、これには小規模クラスであることや担任の先生のきめ細やかな指導、関わる先生方や保護者の方の協力なども要因として挙げられるでしょう。



  教室における教師と生徒の関係が「教師⇒生徒」(教師が生徒に教える、もっと言うと教科書の内容をそのまま教え込む)ではなく、「教師・生徒⇒情報の学び」(教師と生徒がともに情報の学びに向かう)であることは、知的好奇心を刺激する良い環境だと思いました。

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